上原ひろみ「Brain」|週末音楽。
日本を代表するジャズピアニスト・上原ひろみが2004年に発表した2ndアルバム「Brain」。
当時、ふらりと立ち寄った熊本のレコードショップ。「店員オススメコーナー」に置いてあった。ちょうど、ジャズも聴いてみようと思っていた時だったので、すぐさま手に取った。
試聴機横のヘッドフォンを耳にあて、再生ボタンをプッシュ。「ん? これがジャズ?」と思った。テクノのアルバムかと勘違いするくらい、ゴリゴリの電子音がヘッドフォンから流れたからだ。元来、テクノが大好きな僕は楽しくなった。6分強の曲が、あっという間だった。
曲のタイトルは「Kung Fu World Champion」。後々調べてみると、ブルース・リーとジャッキー・チェンへのオマージュらしいということが分かった。
確かにテンポ、拍子が目まぐるしく変わる様はまさに、カンフー映画の痛快なアクションシーンそのもの。聴いていると自然と体が動く。だんだんと愉快になる。
他の収録曲ももちろん素晴らしく、シンプルなジャズ編成の曲でも、それぞれの楽器ががっちりと絡み合う。絶妙なハーモニーに、感覚が聴覚のみに集中する。レコーディングメンバーは、ジャズ界で世界的に有名な、Tony Grey(b)、Anthony Jackson(b)、Martin Valihora(ds)の3人。なるほど、こりゃ最高の面子だ。
録音環境も素晴らしく、ベースの弦が擦れる音までしっかりと収まっており、その生々しさにハッと、そして、ゾクッとする。
当時は、ジャズの知識なんて全くなかった。今改めて聴くと、まさに革新的なアルバムだったんだなと感じる。
とはいえ、本作を聴く際は、余計な事は考えずに、ただただ、音に身をゆだねる事をオススメしたい。
Astray Goods Life ライター。ノイズ系の楽曲制作が趣味。常に男メシを求めるグルメ。