思考を表す「代名詞」|アートな日常
さて、日常のアートを探るには、どうしたらいいのでしょうか。
そもそも、アートの定義を語ることは難しいもの。ここではアートを、「モノ」ではなく「思考の中にあるもの」と定義したいと思います。
いかなるものも、思考によってアートとなり得る。必要なことは「誰の価値観にも縛られない自分の価値観」。そして発見した魅力を恐れずに発表できる「勇気」なのです。
物事に予め設定された肩書きを外し、できる限りフラットにした自分の眼で見る。それだけで日常はあっという間にアートに変わります。
こうした目を養う方法はいくつか存在します。試しに、雑貨店などに赴き、あなたが気になるお皿などを目の前に置いてみましょう。それがなぜ気になるのか。考えてみましょう。
また、写真を撮るように日常を切り取り、額に収めるような感覚で物事を見るという方法もあります。対象から寄ったり引いたり。空間を切り取ったら、そのままアートになってしまう、ということもよくあります。少々乱暴な言い方かもしれませんが、「フレーミング」こそがアート化することと言えます。
話が少し逸れますが、前回お話しした、自分の居場所探しについても同じことが言えます。本当に好きな事、したい事を探すためにも、この日常の物事の見方はとても大事になってくると思います。
人が気付かない事を見つけ、拾い上げることも、アートを発見することにつながります。ここまで来ると、あなたはもうアーティストです。
私は「アート」という単語は、それぞれの眼に新しく現れた「何かわけのわからないもの」を示す「あれ」のような代名詞だと思っています。実際に分かっていないから使ってしまう、便利な言葉なのです。
詰まる所、何か作品などを介して自分と対話できることが、アートの魅力です。日常の些細な事にアートを発見できれば、より日々がワクワクするに違いありません。
大分県竹田市を拠点に活動する、児玉順平と 加藤亮による美術ユニット「オレクトロニカ」。アート・デザイン・空間づくりなど分野を超える活動を行う。作品を通し、日々の暮らしや地域に新たな視点を提案している。オレクトロニカ公式サイト